代表あいさつ

NPO法人子どものオンブズにいがた   代表理事 山本 馨 

 子どものオンブズにいがたは、2013年に設立され、いじめや差別、虐待などの子どもに対する人権侵害の救済にあたるNPO法人(特定非営利活動法人)です。日本ではじめて、子どもの人権救済機関として、1998年に発足した兵庫県川西市の「川西市子どもの人権オンブズパーソン」に学びながら、新潟ならではの人権救済機関として、活動を開始し、10年目を迎える市民団体です。
 「オンブズパーソン」とは、もともとは「苦情処理人」という意味ですが、人権侵害に苦しむ子どもやその保護者の方たちからの訴えや相談をうけて、相談者の立場にたって問題の解決、調整活動を行う人々ということになります。

 いじめの発生件数は、コロナ禍で減少したといえ、50万件を超えています。その7~8割は、学校等の対応で解消していますが、すべてが解消しているわけでありません。
 「いじり」に象徴される遊びと区別がつきにくいいじめや、ネットなどの捉えにくいいじめなど、教職員が見過ごしてしまいがちないじめも少なくありません。担任に相談したり、
学校に訴えても、真摯に対応していただけないケースもあります。
 こうしたケースでは、私どものような、相談者の立場にたって、学校や教育委員会に出向いてまで問題解決に取り組む相談機関は、力強い見方になります。これまでも、私どもは相談をうけて、必要がある場合は、相談者とともに学校、教育委員会に出向いて、相談者の苦しさ、辛さや心の痛みに共感しながら、学校・教育委員会のこれまでの対応のどこが問題であったのかを、法や制度に照らしながら、冷静に論理的に主張し、対応の不備、不十分さを指摘していきます。その結果、学校や加害者からの謝罪を受けたり、学校の対応が変わってきたケースがたびたびありました。

 私たちの活動のもう一つの柱になっているのは、「不登校」のケースです。私たちは「不登校」それ自体を「問題」にしていません。基本的に「不登校」は、多様な生き方を認めてほしいといった、その子らしい豊かな育ちを求めた生き方と捉えています。その立場にたって、いじめや教師不信などの、学校における人間関係が原因でひきおこされる「不登校」などの場合は、可能なかぎりの人間関係の回復をはかりながら、場合によっては、相談者とともに学校復帰を目指します。
 学校に戻る、戻らないはともかく、大事なことはその子が求める思いや生き方を尊重して、その子の最善の利益を保護者とともに実現していくことだと考えています。

 どうぞ、私どもの相談・調整活動をご理解していただき、ひとりで悩まずに遠慮なく相談されますようお願い申し上げます。と同時に、相談者としてではなく、子どもの人権侵害の救済にご協力いただける方の、物心両面にわたるご支援を賜りたくお願い申し上げる次第です。